Dez Pes…ポルトガル語で「10本の足」の意味。ブラジル北東部に伝わる十行詞の形式をいいます。

  Dez Pes - O que é que o forro?

フォホー(Forró)とは?



 フォホー(Forró。ノルデスチ訛りではフォローとカタカナ 表記するのがより近いが、日本では一般的にフォホーと書くことが多い)は、一般にブラジル北 東部(Nordeste)地方の民衆が楽しむ独特のリズムのことで、またそれにより演奏される音楽や踊り を言います。最近では北東部地方だけではなく、リオ・デ・ジャネイロやサンパウロなどの大都市を はじめとして、全国的に人気があり、若者達にも人気のある音楽文化として定着してきました。

 音楽的にフォホーをもう少し細かく定義すると、アコーディオン(サンフォーナsanfona)、低音太鼓(ザブンバ zabumba)、トライアングル(トリアングロtriangûlo)のトリオ編成、またはこれにギター、ドラム、ベース などを加えた編成で演奏されるブラジル北東部地方独特のリズム(主にバイアォン(Baião)、シャシャード(Xaxado)、ショッチ( Xóte)、コーコ(Côco)、アハスタ・ペ( Arrasta-péなど)とその音楽や踊りということになります。

 フォホーは、もともとフォホボドー(Forrobodó) という北東部地方の民衆のカジュアルなダンスを意味する言葉から派生したという説が 正しいとされています。もう一つ有力な説は、19世紀にイギリス人が楽しんでいたフォークダンス パーティーで、彼らがみんなのため(For all)と言っていたのがなまって、フォローというように なったというものです。どっちが正しいなんて論争もあるようですが、まあ我々日本人には これと決められるわけでもないし、とりあえず両方押さえておきましょう。

 どちらが語源であれ、はっきりしているのは、フォホーというのはもともと、そのダンス パーティーの行われている場所のことを指していたということです。だから、フォホーという 固有のリズムがもとからあるわけではないのです。ただし、最近のブラジルでのジャンル分け などを見ていると、ショッチとバイアォンは分けて言い、シャシャード、コーコ、アハスタ・ペ などをフォホーと呼んでいることが多いようです。

 フォホーを有名にしたのは、ルイス・ゴンザーガ(Luiz Gonzaga)です。彼は、1940年代 後半から、バイアォンというリズムを用いた自作曲をアコーディオンを弾きながら歌ってヒットを 飛ばし、バイアォンの王様と呼ばれるようになります。ルイス・ゴンザーガは、彼の数多くの ヒット曲を通じてバイアォン以外の豊富な北東部地方のリズムも紹介し、フォホーの音楽文化の 基礎を作り上げるのに、多大な貢献をしました。フォホーを理解するのに、ルイス・ゴンザーガ の音楽を理解することは、避けて通れないと言えるほど、今も多大な影響力をもっています。 フォホゼイロ(Forrozeiroフォホー愛好家)にとって、ルイス・ゴンザーガの歌曲は共通語の ようなものであり、老いも若きも彼の曲を心から楽しみ、至福の時を分かち合えるのです。

 フォホーの踊りについては、僕にはダンスの知識も才能も全くなく、申し訳ありませんが 概説すらできません。どなたか寄稿していただける方がいらっしゃると助かります。